しんかなクリニック

  • 〒591-8025 大阪府堺市北区長曽根町720-1
    スギ薬局新金岡店2F
072-255-5929

しんかなクリニック

MENU

甲状腺疾患・内分泌疾患

Medical

はじめに

甲状腺の病気は意外に多く、男性では50~100人に1人、女性では30~60人に1人の割合と言われております。大きく分けて2つあります。ひとつが甲状腺の働きの異常(機能亢進症:ホルモンが過剰に出てしまうと機能低下症:ホルモンの出が悪くなる)です。もうひとつが、腫瘍(甲状腺の腺腫やがん)です。当院では甲状腺機能異常に対して内服加療を行なっております。

 

(もう少し詳しくお話すると、、、)

甲状腺とはヨード(わかめや昆布に多く含まれる元素の一つ)を材料とし、身体全体の新陳代謝を促進するホルモン(甲状腺ホルモン)を出す臓器です。喉仏のすぐ下に左右一対づつあり、それぞれラグビーボールのような形をしています。喉仏の下で左右の甲状腺がつながり、正面から見ると羽を広げた蝶の形のように見えます。大きさは4cm・重さは20g(それぞれ平均値)の臓器になります。

甲状腺外来

甲状腺疾患にはバセドウ病や橋本病のように甲状腺ホルモンのバランスが乱れる疾患や、甲状腺が炎症を起こす疾患、甲状腺に良性や悪性の結節(しこり)が出来る疾患などがあります。以下、甲状腺の病気でもっともよくみられる甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症についてお話しをします。

甲状腺ホルモンの量はfT3やfT4という採血検査項目で測定します。このホルモンのバランスは、TSHで調整されています。甲状腺ホルモンとTSHは例えるなら天秤のようなバランスをとっております。つまり甲状腺ホルモンが多ければTSHが減り、逆に少なければTSHが増えます(他の原因で両方のホルモンが減る/増えることもあります)。

甲状腺ホルモンが増加する(甲状腺機能亢進症)と、さまざまな臓器の代謝が増える結果、暑がり・汗かき、疲れやすい・動悸・息切れ、指先の震え、体重が減る/増えない、下痢、神経質な性格になった等の症状が出ます。

逆に甲状腺ホルモンが低下する(甲状腺機能低下症)と、さまざまな臓器の代謝が減る結果、逆に寒がり・皮膚の乾燥、下肢むくみ、体重が増えた/減らない、便秘、意欲低下/無気力な性格になった等の症状が出ます。老化症状に一見すると似ているため、病気と気づかない人もおります。また、医師の診察においても、他の病気と間違われやすいのが特徴の一つです。

甲状腺の働きの異常は、甲状腺に対する自己抗体ができてしまうことが原因の一つとして挙げられます。甲状腺に対する自己の特殊抗体の刺激で甲状腺ホルモンが過剰に産生され、血液中の甲状腺ホルモンが増加している代表的な疾患が、バセドウ病です(自己抗体が陰性でも疾患を発症する場合もあります。この他、甲状腺が炎症性に破壊されて、甲状腺内に蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れて、血液中の甲状腺ホルモンの増加が見られる状態を亜急性あるいは無痛性甲状腺炎と呼びます)。

逆に甲状腺からの甲状腺ホルモン産生が低下して、血液中に甲状腺ホルモンが低下する代表的な疾患が、慢性甲状腺炎(橋本病)です。先ほどの亜急性あるいは無痛性甲状腺炎などの治療経過でも、甲状腺内に蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中に過剰に漏出した結果、ホルモンの分泌低下を生じることがあります。更に、過剰のヨード類の摂取でも甲状腺機能低下症が発症することがあります。

これらのバセドウ病と橋本病は頻度の割合的にも高い疾患で、性差では約10対1の比率で女性に多くみられます。そしてバセドウ病・橋本病は体の免疫状態が変化する状態(例えば出産等)を契機として、発症あるいは増悪することが知られております。症状が顕著な方もいればハッキリしない方もおり千差万別で、他の診療科や神経科の診察の際に発見される場合も少なくありません。病気を悪化させないためにも、早期発見と治療開始・継続が大切です。

早目の受診・検査を心がけましょう。

 

甲状腺機能亢進症や中毒症の原因となる疾患

  • バセドウ病
  • 亜急性甲状腺炎
  • 無痛性甲状腺炎

甲状腺機能低下症の原因となる疾患

  • 橋本病
  • その他の原発性甲状腺機能低下障害
  • 薬剤性甲状腺機能低下症

甲状腺機能亢進症や中毒症の原因となる疾患

  • バセドウ病
  • 亜急性甲状腺炎
  • 無痛性甲状腺炎

甲状腺機能低下症の原因となる疾患

  • 橋本病
  • その他の原発性甲状腺機能低下障害
  • 薬剤性甲状腺機能低下症

追記)イソジンうがい液が及ぼす影響について

イソジンヨード自体は優れた製剤で一般にうがい薬として販売されている医薬品ですが、「使い方」「使う方」によっては問題を起こすこともあります。

イソジン含有うがい薬に含まれている「ポビドンヨード」と呼ばれるものは主に昆布やワカメなどに含まれているミネラルの一種の「ヨード」と、毒性を下げ水によく溶けやすくする「ポリビニルピロリドン」という成分から作られている医薬品で、強い殺菌効果を持ちます。歯科医院での抜歯後の処置に際し処方されることもあります。また使われている濃度は異なりますが、手術室での術前の手指消毒をはじめ、さまざまな部位の手術や処置をする部位の細菌・ウイルス数をゼロに近い状態にするためにも用いられます。

ただ妊婦さんがこの成分が入ったうがい薬を連用すると、普段の食事で海藻類から摂取する量よりもはるかに多くのヨウ素を吸収し、ヨウ素過剰症を引き起こすことがあります。このヨウ素過剰症、国外は元より過去に国内でも母親が昆布や昆布だしを沢山摂取した結果として結果的に母体内の胎児もヨウ素過剰状態となり、生まれながら甲状腺機能低下症となってしまった例が国内で大勢いたことがわかったという報告から、妊婦でのヨウ素製剤の服用は禁止されています。またヨウ素成分のアレルギーの方も一定の割合でおられます。

その部位における殺菌力が強力である反面、口の中に残った場合はコーラに匹敵するほどの歯を溶かす力(コーラのpH:2前後に対しイソジンのpH:1.5~3.5前後と強酸性)を持っているため、適切な濃度に薄めて使用し、イソジンうがいをした後は必ず口を水でゆすぐ必要があります(歯のエナメル質が溶けてボロボロになります)。また歯が茶色に染まりやすいという見た目の問題もあります。

日本甲状腺学会・日本内分泌学会・日本内分泌外科学会の3学会が連名で「新型コロナウイルス感染症へのイソジンうがい薬の使用についての見解」を発表し、ヨウ素含有うがい薬の頻回使用に注意を促しております。こちらもご一読をお願いします。

内分泌外来

内分泌疾患の中では圧倒的に甲状腺疾患が多いのですが、他にも下垂体疾患(先端巨大症、クッシング病、プロラクチン産生腫瘍など)、副腎疾患(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫など)、副甲状腺疾患(副甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能低下症など)、膵内分泌腫瘍などあり、難病に指定されているものも少なくありません。

甲状腺疾患や原発性アルドステロン症を除き、これらの疾患は比較的稀でありますが、疾患が疑われた場合は全身の評価が必要であるため、適切な医療機関にご紹介をさせていただきます。

下垂体疾患

先端巨大症、下垂体腺腫、下垂体機能低下症、クッシング病、プロラクチノーマ、などの疾患があります(先端巨大症は特徴的な外観なので、著名人で公表されている方も多いのが特徴です)。

先端巨大症
  • 最近顔つきが変わってきた
  • 指輪が入らなくなった
  • 今まで履いていた靴が履けなくなった
  • 物が見えにくい
  • 頭痛
下垂体腺腫
  • 物が見えにくい
  • 頭痛
下垂体機能低下症
  • 食欲がない、やせてしまう
  • 寒い
  • ぼーっとする
  • やる気がない
クッシング病
  • あまり食べてないのに体重が増えてしまう
  • 生理が来なくなった、だるい
プロラクチノーマ
  • 産後でもないのに乳汁分泌がある
  • 生理が来なくなった、だるい

 

副腎疾患

原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、クッシング症候群、副腎皮質機能低下症、アジソン病などの疾患があります。特に原発性アルドステロン症の頻度は高血圧症全体の5-10%前後を占めるとの報告より、従来の報告よりも非常に頻度が高い病気であることが判明しております。治療を行うことにより著明に改善することが多いです(詳細はこちらのブログ記事生活習慣病の高血圧の貢を参照)。

原発性アルドステロン症(まとめ)
  • 本邦にいる推定高血圧症患者4300万人の5〜10%を占め、難治/若年性高血圧の原因疾患として割合が多い。
  • 古典的兆候である低カリウム血症や副腎腫瘍を認める症例は実は少数。 
  •  →実は多くの原発性アルドステロン症の患者さんが本態性高血圧症としての治療に留まっている現状。
  • 年齢・血圧が同等の本態性高血圧に比べ脳・心血管病の発症リスクが極めて高い事が判明。
  • 適切な診断・治療により効果的な治療方法が選択可能である。
褐色細胞腫
  • 頭痛や動悸や発汗を伴う高血圧
クッシング症候群
  • あまり食べてないのに体重が増えてしまう
  • 多毛になった
  • にきびが急に増えた
副腎皮質機能低下症
  • だるい
  • 食欲がない
  • やせてしまう
アジソン病
  • 色素沈着が多い

 

副甲状腺疾患

原発性副甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症、高・低カルシウム血症などがあります。

  • なんとなくぼーっとする
  • 胃痛
  • 嘔気
  • 脱水傾向
  • 尿管結石を繰り返す
  • 手足がしびれたりつっぱったりする

診療案内

糖尿病でお悩みの方

医療連携