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こんにちは。スギ薬局新金岡店2Fにある内科・糖尿病内科のしんかなクリニック 院長の片岡です。
今回のお話は、今年5月に東京有楽町(国際フォーラム)周辺で開催された糖尿病学会総会について前回ブログでお話していた、もう一つのお話と、10月26日に大阪中之島(国際会議場)周辺で開催された糖尿病学会近畿地方会で見聞きしてきたお話をまとめたものです。
目次
出産後の糖負荷試験で確認された耐糖能障害を来す患者さんの背景
今年の糖尿病学会総会で妊娠糖尿病に関する複数の口頭発表をいくつか聴講する機会に恵まれました。妊娠糖尿病既往女性が糖尿病へと進展するリスクは一般的に7倍と言われています。その入り口となる糖代謝異常は何がきっかけとなるのか、出産後の忙しい時期でもある出産後1〜3ヶ月に糖負荷試験(以下、OGTT)を受ける事が出来た症例における振り返りにて、出産後でも耐糖能異常の範囲に留まった方 では出産前のBMI高値 が関連していた とする妊娠糖尿病の転記についての報告や、産後2年までOGTTデータでの追跡調査では、早期の糖尿病進展群ではIns初期分泌低下が最初からあったとする報告もあり、聞く限りに於いては産前の段階での肥満の要素>インスリン分泌予備能 とする報告が多かった印象でした。
妊娠に至る前の段階で、既に妊娠中の糖代謝の変化が起きている可能性がある
そもそも、食後高血糖状態となる耐糖能異常は、主に肥満が原因で生じ、後の糖尿病発症や心血管障害のリスク因子となることが以前より知られていました。欧米諸国では若年層における肥満の増加とともに耐糖能異常も増加し、肥満の若年者に対する減量指導が推進され、肥満患者に対してのGLPー1製剤を用いた体重減量が可能となる等にその動きを見る事が出来ます。
意外な事に日本においてはBMI 18.5 kg/m2未満の「痩せた」女性の比率が先進諸国の中では最も割合が高く、特に若年女性では痩せ願望を反映してその比率が約20%と極めて高くなっています。今までの研究では「痩せていても肥満と同等に糖尿病のリスクが高い」ことがわかっていましたが、あくまでも中年以降を対象としたデータで、痩せた若年女性でも糖尿病のリスクが高いのか、高いとすると、なぜ痩せていてもそのような異常が生じるのか、に関しては全く明らかになっていませんでした。痩せた若年女性の耐糖能異常の割合とその特徴を明らかにすることを調査した報告では、
○日本人の痩せた若年女性は標準体重者に比べて耐糖能異常の割合が約7倍と顕著に高く、耐糖能異常率は米国の肥満者における割合(10.6%)より高い13.3%にのぼる事
○痩せた若年女性の多くは食事量・運動量が共に少ないという「エネルギー低回転タイプ」となっており、骨格筋量も減少していた。耐糖能異常の原因として、主に肥満者に生じると考えられてきたインスリン抵抗性や脂肪組織の異常となる「代謝的肥満」が痩せているケースにおいても関与を及ぼしている可能性が明らかになった。
とまとめられていました。
小中高生の間で、食べ過ぎによる肥満など生活習慣の乱れから来る運動不足・栄養過多で太る子達だけでなく、低栄養・痩せ過ぎの問題もこの10年近くで大きく問題になってきております。本来は骨量を蓄えなければならない小学生高学年の世代にも<痩せることが良いこと>とした、ダイエット思考が入りこむようになり、肥満とは別の問題発生が危惧されている状況です。
freestyleリブレ2へのUpdateに関する注意点
freestyleリブレ2は2023年後半に世代交代が発表され、今年の糖尿病学会総会と先日の糖尿病地方会でそれぞれ企業ブースへの出店があり、いずれでも機器のデモが呈示されておりました。
変化として大きいのは、リブレ2の測定器本体とスマホの「Bluetooth直接接続」により5分おきの測定が自動でスマホに送られ、結果としてリブレ本体でのscan操作が不要となる点に尽きます。これで毎日最低4回は行っていたscan動作が無くなることで、血糖コントロールのさらなる精度向上が期待されます。
一方で、リブレ本体の測定値と実際の血糖測定との値のズレは依然として残り、症状が怪しい場合などで血糖測定を行う場合にはリブレリーダーがどうしても欠かせない状態にあります。またデータ解析は専用サイトで行われ、診察の際には同サイトへのアクセス→結果をダウンロードして確認する等、通常の診察に加えてプラスアルファの手間・時間がどうしてもかかる状況です。
最後に 重要なのはさじ加減
さじ加減・塩加減と同様、体重も塩分も増えすぎと同様に減りすぎる事でも弊害があるのが実情です が、あまり詳しくは取り上げられていません。
朝から「美脚大賞」「美ボディ」と<太らないのが健康に良い>と色々な思惑がある中で朝から健康のためにとサプリメント服用を煽るCMがどんどん流れています。
(リブレ2に関し加筆・修正を加える内に思った以上の文字量になってしまったので、これを後日分へ回すことにします)
今年の「夏」がようやく終わりそうです。気候は急に変わりますが、人間の身体が外気温に追いつくのは数日かかるのが実情です。
どうぞ体調を崩さずに気をつけてお過ごし下さい。
今後とも、しんかなクリニックをどうぞ宜しくお願い致します。
しんかなクリニック 内科・糖尿病内科
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