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ご存じですか?高血圧の病気の一つ、原発性アルドステロン症について

当ホームページをご覧のみなさまへ。
こんにちは。しんかなクリニック院長の片岡です。
 
年始から厳しい底冷えが何度もありましたが、ようやく3月を迎え本格的な春の訪れまであと一歩と迫って参りました。
本日は高血圧症の中にある「原発性アルドステロン症」についてお話をさせて頂きます。
目次
  • 全高血圧のうち10%を占める原発性アルドステロン症)
  • どんな病気か)
  • 一般の本態性高血圧症よりも合併症が起きやすい)
  • 特に疑われる高血圧の特徴)
  • どのようにして見つけるか)
  • どのようにして治療するか)
  • 最後に)
全高血圧のうち10%を占める原発性アルドステロン症

厚生労働省の調査により高血圧と推定される日本人の数は全国で4000万人以上と3人に1人が高血圧と言われています。高血圧の原因としては遺伝的要因に加え、飲酒や肥満・運動不足などの生活習慣が関係していると考えられていますが、大多数は原因がハッキリしない「普通」の高血圧(=本態性高血圧)として何らかの介入が行われているのが現状です。しかし最近では、何かしらの原因により高血圧症が引き起こされている高血圧(二次性高血圧症)として、原発性アルドステロン症が高血圧症の5〜10%を占めている事が明らかになりました。

原発性アルドステロン症は どんな病気か 

聞きなれない名前だと思いますが、アルドステロンというホルモンが腎臓の上に存在する副腎(副腎皮質)という臓器から過剰に分泌されることにより起こされる病気の事です。
アルドステロンは腎臓に働いてナトリウムやカリウムといった電解質のバランスを調整する大切なホルモンですが、このアルドステロンが過剰に分泌されてしまう事で、ナトリウムの吸収が高まり高血圧となったリ、カリウムが低下し脱力感や筋力低下などの症状をきたします。また、アルドステロンの過剰は心房細動などの不整脈や動脈硬化を促進することもわかっています。原発性アルドステ ロン症の原因は副腎にできる腫瘍やアルドステロンを分泌する副腎の細胞の過形成とされておリ、左右片方の副腎もしくは両方の副腎が病変となります。

 特徴として、CTやMRI検査では写らない極小のサイズながらもホルモン値が有意に上がる事もあり、画像の検査「だけ」でこの病気が否定できないという点があります。もちろん一般健診だけでこの病気は診断が出来ません。

原発性アルドステロン症 は一般の本態性高血圧症よりも合併症が起きやすい

原発性アルドステロン症は血液中のカリウムが低くならない限りはほとんど自覚症状がなく、(本態性)高血圧症と見分けがつきません。ただし、原発性アルドステロン症による高血圧に於いては、年齢や血圧が同等であっても、一般の高血圧症より脳卒中、冠動脈疾患(心臓病)、腎障害、心房細動などの脳・心血管合併症の頻度頻度が高く、合併症をきたしやすいことが報告されています。ですので、原発性アルドステロン症をきちんと早期に診断、治療介入を始めることが重要なのです。

原発性アルドステロン症 が特に疑われる高血圧の特徴について
  • 血中のカリウム濃度が低い状態を合併している場合(利尿薬を使用している場合も含む)。
  • 若年層で高血圧を指摘されている場合。
  • 上が160mmHg、下が100mmHg以上の高血圧がある場合。
  • 治療抵抗性高血圧:降圧薬を投与しても血圧が下がらない場合。
  • 副腎偶発腫合併例:副腎に腫瘍がある場合。 
  • 40歳以下での脳血管障害を発症したことがある場合。

上記の6つの項目のうち一つでも当てはまる場合、一度スクリーニング検査の実施が望ましいと考えます。当院もしくは基幹病院の糖尿病内分泌外来にお越し頂きたく存じます。

原発性アルドステロン症は どのようにして見つけるか

当院に来院された患者さんのうち、原発性アルドステロン症の疑いが強い患者さんにおいては積極的にスクリーニング(選別)検査を行ってい ます。高血圧で来られた患者さんに対し、外来で安静下(空腹かつ30分以上臥床した後)で血液検査を行い、レニン活性が低くアルドステロンの濃度が高い値の時に、原発性アルドステロン症が疑われます。疑いのある患者さんに対しては、 基幹病院において3~4日程度の入院での確認検査を勧めております。

基幹病院での検査ではカプトプリル負荷試験、また生理食塩水負荷試験・フロセミド負荷試験等を行い少なくとも 1種類の検査で陽性と確認された場合に原発性アルドステロン症との診断が確定します。また、同時に CTやMRIの画像検査を行います(入院と同時に出来るかは日程次第です)。仮に腫瘍が同定され、また手術治療を希望される場合は、後日あらためて再度の2泊 3日の入院で左右の副腎静脈 にそれぞれカテーテルを挿入した状況下で病変局所近傍からの採血を行い、アルドステロン濃度を測定する、副腎静脈サンプリング検査を行います。

原発性アルドステロン症は どのようにして治療するか

原発性アルドステロン症の診断が確定し、上記の副腎静脈サンプリング検査で病変が左右のどちらか片方であった場合は、入院先の泌尿器科で副腎腫瘍の摘出術が行なわれます。一方、手術を希望されない場合、左右両方に病変がある場合はアルドステロンの働きをブロックする薬を服用し、ホルモンの作用を抑える治療(=結果として血圧が下がる)を行っていきます。近年、このアルドステロンをブロックしうる複数種の薬剤が保険適応下で処方出来るようになっています。

最後に

高血圧は最も割合の多い生活習慣病ではありますが、色々な要因が組み合わさる事で心・脳血管疾患の発症を起こし、時には命が奪われる事態も引き起こします。気候の変わり目といった寒暖差が大きい時期は血管の病気もまた起きやすい状況です。早めの診断・治療介入をおすすめします。

今後とも、しんかなクリニックをどうぞ宜しくお願い致します。
 

しんかなクリニック 内科・糖尿病内科
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URL: https://shinkana-cl.com/

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