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(糖尿病の方へ)シックデイ・低血糖時も慌てずに対応しましょう。

当ホームページをご覧のみなさまへ。
こんにちは。しんかなクリニック院長の片岡です。
大阪では8月下旬になり、久しぶりの暑さと共に小・中学校では2学期が始まって久しいところですが、院長が小・中学校の時は8月いっぱいまで休みがありました。どうしても工作や読書感想文といったものを後回しにして、この時期にずれ込んで「どうしたものか」と追い込まれるように本を読みこんだり、工作を手直ししたりとなんとかして9月1日の始業式に仕上げていたのを思い出します。
 
高齢者からはじまったワクチン接種は全年代へと進んでいますが、新型コロナウイルス感染症の新規陽性者は未だ拡大傾向が続き、(特にワクチン接種がまだお済みになっておられない方を中心として)漠然とした不安な気持ちの中でお過ごしの方も多いと思います。糖尿病をお持ちの患者さんでは、(新型コロナウイルスに限らず)何らかの原因で体調が良くない状態になり、発熱や嘔吐/下痢、食欲不振を呈する等で血糖値が乱れやすくなった状態を「シックデイ」と呼びます。また糖尿病管理において注射製剤を使われておられる方では1日あたり決まった回数(1日あたり1~4回)で血糖測定が保険適応となっていますが、血糖値が低くなったときは適切な対応が必要です。
今日はシックデイについて、また低血糖時の対応についてお話をさせて頂こうと思います。
目次
  • シックデイについて
  • 1型糖尿病の方・2型糖尿病の方での対応
  • 低血糖時の対応
  • 最後に
シックデイについて:体調不良時は血糖変動が大きい
体調不良時は通常の時と異なり、病気や痛み等から出るストレスホルモンの働きでインスリンの効きが相対的に悪くなります。通常の方では血糖値が上昇しても即座にインスリン分泌が増えるため実測血糖値としてはほぼ変化がありません。しかし糖尿病の患者さんではインスリン分泌能の低下/効能の減弱により、十分な対応ができません。このためシックデイ時は血糖値がいつもよりも高くなる事が往々にしておきます。
 一方で胃腸の不調等で食事が進まず、食べる量が少ないにも関わらず、いつもの通り薬を飲んだり、注射をすることで血糖値が低くなることもあります。さらに、体調不良により脱水傾向があると腎臓の機能を低下させるため、腎臓から排泄される薬剤がある場合は、その成分が体内に残りやすく血糖値が余計に下がってしまうという悪循環にもつながります。
1型・2型糖尿病別の対応
>1型糖尿病の方;インスリン製剤の調節)
1型糖尿病の方では、例え食事が取れなくてもインスリン注射を完全に中断してはいけませんシックデイでは状況に応じた個別対応が必要ですので、まず、かかりつけ医療機関にどのように対応すべきかを慌てずに電話で連絡頂き、適時指示を受けてください。
(一例:1日1回タイプのインスリン製剤は同量か少し減量した上で投与継続・1日3回タイプのインスリン製剤は朝昼夕のタイミングで血糖値が200以上のタイミングで1単位~等)。
 
>2型糖尿病の方;内服・インスリン製剤の調節)
2型糖尿病の方では、一般的にシックデイ時は食事量(特にご飯やパンなどの主食量)に注目頂き、半分以下の場合は投薬も調節が必要です。
 
なかでも発熱・下痢などで脱水の恐れがある場合はメトグルコ等のメトホルミン薬、SGLT-2阻害薬(スーグラやデベルザ・フォシーガ・ジャディアンス・カナグル・ルセフィ)、SU薬(一般名:グリメピリド・グリクラジド・グリベンクラミド)の内服は一回飛ばすことも検討して下さい。インスリンを使用中の方では食事が進まない場合は食後打ちとして、先に食事→食事量に応じて場合によって通常時より減量してインスリンを打つなどの対処法を予め主治医の先生と相談しておくことが大切です。
 
以前のブログ記事で、インスリンのジェネリック版であるバイオ後発品のお話をしましたが、食事後に注射しても今までの食前投与と同等の速やかな血糖降下作用をもてるように既存製品の改良したものも注射製剤のラインナップに加わっております(図では第2世代;と表記しています)。興味のある方は主治医までご相談下さい。
低血糖時の対応:補食する内容に注意 
血糖値が低くなったときは迅速な対応が必要です。食事前のタイミングであれば、上記のようなインスリン製剤の調節も可能ですが、それとは関係無く低血糖になった場合の対応については患者さんにお尋ねしても「ブドウ糖/ラムネ等の砂糖菓子」「ジュース」といった方もいれば「クッキー」「チョコレート」「アイス」を食べておられる方もいました。
 
結論からですが「ブドウ糖や砂糖菓子」「ジュース」が望ましく、「クッキー」「チョコレート」「アイス」は避けるべきです。
少し補足します。糖分の吸収は口腔内からは微量しかされず、実際には胃を通り抜けた先の十二指腸以遠に届かないと適切に行われません。その面では液体になっているジュースは速やかに血糖値が上がりやすく、緊急時に有用です(意識が怪しい状態で他の方が飲ませると誤嚥リスクがあるので注意)。
クッキー・チョコレート・アイスは全て油分を含むため、胃内に留まりやすく血糖値が「後で」あがる事が多いため、低血糖時の補食には向きません。
最後に:病気に対する「備え」と「切り札」

病気・体調不良時に「準備」する種々のノウハウや治療薬等に比べると、ならないようにする「予防」は、最良の手段としてさらに有効です。2021/08/27時点での政府CIOポータル統計では1回目のコロナワクチン接種を終えた方が全年代の47.3%、2回目を終えた方で37.2%、65歳以上の方に限れば1回目を終えた方は89.4%、2回目を終えた方は87%とほぼ9割に迫りました。

当クリニックに通院している65歳以上の方は多くがワクチン接種を終えられていましたが、何名かの方は「副作用が心配だから」「俺は大丈夫だから」打たないと、少し前に82歳で亡くなられた千葉真一さんと同じようにお話される方もおられます。色々な方がクリニックにご来院されますので、ワクチン接種を終えた方も含めて、待合でお待ちの間は引き続き皆様にマスク着用をお願いしております(なるべく不織布マスクの装着をお願いします。お忘れの方は受付でお買い上げ頂きます)。

 
先日来、あるテレビ番組で新型コロナウィルス感染症に感染した際に体調不良から糖尿病性ケトアシドーシス(DKA※下記参照)に至って亡くなられた糖尿病患者さんの事例や、ワクチン接種をされていなかった糖尿病をもつ70代男性で救急搬送が出来ず亡くなられた方が放映されておりました。報道は「インパクト」重視のため、往々にして悪いニュースがトップに、良いニュースは扱いが小さくあまり報道されてない状況です。8月16日に実施された新型コロナウイルスに対する大阪府の対策本部会議にて、現在までの新規陽性者の年齢構成の変遷と府内の新規陽性者におけるワクチン接種歴の分析データでのワクチン効果が報告されましたが、やはりあまり目立っておりませんのでここに記します。
 
※現在までの新規陽性者の年齢構成の変遷;ワクチン接種が進み60歳台以上(赤枠内)が明らかに減少。
 
※今年の第4波(3月1日~8月15日)の間の累積8万5325人の新規陽性者の内、
ワクチン接種を終えていた人:2118人(全体の2.5%)
2回接種をして14日以降に発症した人:317人(全体の0.4%)このうち重症・死亡:0人 
→10万人当たりの新規陽性者でも、各年代でワクチン接種をしている人は明らかに少ない傾向でした。
 
糖尿病をお持ちの方は、これを機会にご自身の内服薬をみて、体調不良時にどうするかの対応を検討して下さい。
また、コロナワクチン接種を2回目まで終えた人とそうでない人の差・接種したことによる効果が大阪府下でも現実になりました。ワクチン接種に迷っておられる方は、今一度よく考えて頂けると幸いです。
今後とも、しんかなクリニックをどうぞ宜しくお願い致します。
 
 

※DKA(=糖尿病性ケトアシドーシス)
インスリン作用が足りない時や食事(炭水化物)の摂取量が少ない時は、炭水化物ではなく脂肪がエネルギー源として使われます。分解過程でケトン体という酸性物質が作られますが、量が増えると血液が酸性に傾きアシドーシス状態になります。その状態をDKAといいます。自覚症状として、全身倦怠感や口渇などの高血糖症状に加え嘔気・嘔吐、腹痛や過呼吸などがあり、この場合は入院加療の上、脱水と電解質異常への対処・点滴でのインスリン少量持続投与を開始しますが、処置が遅れると昏睡に至り最悪の場合死亡することもあります。

糖尿病が未治療の方で急性発症した方はもちろん、自分の体内からインスリンが充分出ないためにインスリンを打っている状態の患者さんで、食事が食べられないから とインスリンを打たないという事で発症する事も多いです。

 

しんかなクリニック 内科・糖尿病内科
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