クリニックブログ
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こんにちは。しんかなクリニック 院長の片岡です。
日中が暖かく過ごせるようになった矢先、大阪では3回目の緊急事態宣言が発出される事態となってしまいました。ただ、昨年と大きく異なるのは、世界各国に比べると大分遅まきながら、日本でもワクチン接種が医療従事者から2月末から開始、堺市でもこの4月26日から、主に75歳以上の方の新型コロナワクチン接種(地域会場)の予約が始まりました。当院の外来でも少し前の定期受診時より「コロナワクチンを打ってよいか」「コロナワクチンを(当院で)うてるのか」という質問を多く頂いております。
打って良いか については既に報道にある通り、このワクチンの禁忌対象は、同ワクチン成分に対するアレルギー反応が明らかな人です。
まず、1回目のワクチン投与で重症アレルギー反応を起こした人は、2回目は投与しないようにします。またワクチンに含まれる成分、ポリエチレングリコール(PEG)や交差反応をおこすポリソルベートにアレルギーのある人は禁忌です。ポリソルベートは食品や化粧品に広く使用されている添加物になります。
これらの物質でアナフィラキシーを起こすとわかっている人は投与を避けた方が良いとされています。
過去に他のワクチン接種により重篤な即時型アレルギー反応が起こったことがある人は禁止ではありませんが、医師と相談の上での判断となります。一般的な食物アレルギー、もしくは喘息・アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患をお持ちでも接種には問題がありません。ただ、これらに該当する方はワクチン接種後は(15分でなく)30分間の経過観察をする様になります。
もう一つの「(当院でワクチンを)うつか」について、各方面から意見を伺い検討を重ねた結果、タイトルの通りとなりました。以下に理由を記載します。
日本で4月現在、承認がされているのはアメリカの大手製薬会社のファイザーが、ドイツの製薬会社ビオンテックと共同開発した新型コロナウイルスワクチン(以下、コミナティと表記)になりますが、このワクチンについて以下の3点が懸案としてあります。
1)ワクチン本体について
2)ワクチン接種(の場所)ついて
3)ワクチンの流通数について
当初、保管温度が-75±15℃とされていました。その後、-20℃±5℃で最長14日間まで保管可能と使用については条件がやや緩和されましたが、停電事故等の温度変化に弱い点があります。病院(特に病室ベッド周り)には処置をされる場所には停電時にも通電されるコンセントがありますが、当院内には停電時などに使える非常用電源設備がありません。
コミナティの投与後は副作用(特にアナフィラキシー反応がないか)15〜30分の経過観察を行います。しかし、当院では待合室内のスペース的に通院で来院される方とワクチン接種希望者/接種後の観察者を分ける事ができません。万が一、アナフィラキシーショックをはじめ、重めの副反応が複数の医療機関で出て救急搬送が重なった場合、今以上に自治体として救急医療に支障が出てしまう事を恐れております。
当市においては(医師会の協力によりかかりつけ医など身近な医療機関で個別接種を行い、補完的に市の公共施設等で集団接種を実施)と市の公式HPに表記されております。しかし今回のワクチン接種の最大の問題は供給量にあると考えます。コミナティは1瓶あたり6人分(しばらくは5人分)を開封・希釈後6時間以内に使い切る必要があり、小規模のクリニックではかならず端数が出て廃棄になる事例が多発すると考えます。国が掲げる「迅速にワクチンを打つ」必要があるなら、絶対に破棄はできない状況です。
厚生労働省HPでは新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)としてコミナティの接種を2回終えた被接種者総数(4/21時点で19579例)の結果がネットで公開されております。今回のワクチン;従来のインフルエンザワクチンよりも発症抑制効果は強いようですが、その反面なのか(2回目に、若年者を中心として)副反応が思ったより多いようです。ただし一日でだいたい収まる事が殆どです。
色々と考えた末、当院でのコロナワクチンに対する対応として、今回のワクチン接種に関しては当院での個別接種は行なわない方針です。接種については集団会場での接種をお願い致します。何とぞご了承ください。
今後とも、しんかなクリニックをどうぞ宜しくお願い致します。
しんかなクリニック 内科・糖尿病内科
〒591-8025 大阪府堺市北区長曽根町720-1 スギ薬局新金岡店 2F