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こんにちは。しんかなクリニック　院長の片岡です。

当院に通院中の方は様々な方がおられます。妊娠中の方、抗がん剤治療中・免疫抑制剤の内服中の方が新型コロナウイルスへ感染すると重症化のリスクが高いと言われておりますが、糖尿病患者さんも感染症にかかりやすく悪化しやすいため注意が必要です。肥満自体が新型コロナウィルス感染症の重症度のリスク要因として挙げられております。
（なお、糖尿病や生活習慣病についての概説は別のページを参照下さい）

「糖尿病があると新型コロナウイルス感染症が重症化しやすい」という可能性は少し前から広く知られるようになった知見の一つです。ただ、これは新型コロナに限った話ではありません。

そもそも糖尿病という病気は体の免疫力を低下させる事が知られており、細菌感染症やインフルエンザ・新型コロナウィルスを始めとしたウィルス性感染症も重症化を招きやすく、血糖コントロール不良からひとたび感染症が生じると、感染の際のホルモン異常により血糖値がさらに上昇、さらなる血糖コントロール不良と感染症の進行を招き、普通の方が喉の風邪で治る範囲のものが、肺炎まで進展しないと気付かないため重症化・重篤化しやすい、という特徴があります。

中国武漢大学人民病院の発表では、新型コロナウィルス感染患者7337人のうち、2型糖尿病を基礎疾患にもち、低血糖であった患者を除外した952人を血糖コントロール良好群と不良群それぞれ250人ずつになるよう調節して比較解析を行った所、死亡する割合についての調査で両者の差は1.5倍に上ることが報告されております。

　(Lihua Zhu.et al. Cell Metabolism 31,1068–1077, June 2, 2020より一部改変)

それならば血糖値は低ければ低いほど良いか？と言うと、もちろんそんな単純ではありません。血糖値が通常より低い低血糖状態になると、手の震えや頭痛などの低血糖症状が生じ、重症の低血糖では脳の働きが低下し意識状態の悪化を引き起こします。

これも中国国内からの報告ですが、中国温州市内5カ所の病院に入院した新型コロナウイルス感染症の患者293人における新型コロナウイルス感染症の重症化と血糖値との関係を検証した論文において、血糖値が90〜105mg/dlくらいを基準とした時に、新型コロナウイルス感染症の重症化の危険が血糖値85を下回ると25倍、血糖値127を超えると38倍以上にあがる事が判明しました。血糖値が高すぎても低すぎでも新型コロナウィルス感染症の重症化リスクが高まる事が報告されております。

また、新型コロナウィルス感染症にかかわらず感染症全般に言える事ですが、どのような病気に感染していても無症状の時期があるため、誰がいつ感染しているかわからない現状です。「自分は感染していないから大丈夫」であるとは断言ができない状況であり、少し前から　ユニバーサルマスキング　という取り組みが行われてきております。

新型コロナウィルス感染における「無症状あるいは症状が軽微な方から他の方への感染を防ぐために、すべての人が常時マスクを着⽤、特に他の人と近い距離(1ｍ以内)で話す時にはマスクをつけましょう」という考え方です。

最近、TV番組のリポーターにおいては、見た目の問題か、マスクをせずフェイスシールドのみでレポートをする姿をよく見ます。某政治家の方以外にも、クリニック近くの公園を散歩されている方でも使用されるお姿をお見受けするようになりました。この、マスクをせずにフェイスシールド・マウスシールドのみの場合はコンピューター解析で飛沫が四方八方に広がる事が2020年9月1日の米学術誌Physics of Fluids(流体物理学)で発表され明らかになっております。
このような事からクリニックへお越しの際はフェイスシールド・マウスシールドの着用はご遠慮いただいております。また咳症状が目立つ方は院外でお待ちいただく事をお願いしております。

暑さも和らぎ、過ごしやすくなった時期ではありますが、マスクをせずに移動されている方も散見されるようになりました。今一度、マスク着用につきまして皆さまのご協力を宜しくお願い申し上げます。

今後とも、しんかなクリニックをどうぞ宜しくお願い致します。

しんかなクリニック　内科・糖尿病内科
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