しんかなクリニック

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生活習慣病

Medical

はじめに

生活習慣病は食生活不良、運動不足、飲酒過多、喫煙といった生活習慣が原因のため、かつては成人病・贅沢病と呼ばれていました。しかし現在では皆様がご存知の通り今ではまったく珍しいものではありません。中には18歳以下でも運動不足での肥満からくる高血圧の症例も散見されるようになりました。自覚症状も出にくく放置しがちになりますが、もちろん放置してよいわけではありません。最初のうちは症状が無いものの、時間経過にて確実に身体のあちこちを蝕み、その結果寿命が削られ、また病気や障害を抱えて生きていく時間を長くしてしまいます。

生活習慣の乱れから生じる病気は糖尿病、高血圧症、脂質異常症(高コレステロール血症)、痛風(高尿酸血症)、肥満症などがあります。これらの病気が脳卒中や心臓病、癌へとつながっていくことが各種報告から明らかになっております。

最終的な治療目標としては、できるだけ長く・元気で・楽しく生きるということに帰結します。そのため、個々人の範囲で、無理なく実行できることを続けていくことが重要です。医学的な根拠に基づいた生活習慣の見直しのお手伝いをいたします。

生活習慣病の予防・治療は、まず日常の食事や運動といった生活の、たとえ些細な部分でも改善することから始まります。健康的な生活習慣を継続していくことは簡単なことではありませんが、日々を患者さまとともに二人三脚で歩んでいくことを心がけます。

これと同時に、必要であればやはり医学的根拠に基づいた投薬治療を行い、さらなる病気の悪化・進行を防ぐ手立てを講じていきます。また、その際に心臓病・腎臓病、脳卒中など、高度な医療機関での画像検索や治療が必要と判断した場合には適切な医療機関をご紹介し、紹介先の病院・クリニックと十分な連携を取りながら、治療をすすめて参ります。

高血圧

高血圧とは(本態性高血圧と原発性アルドステロン症)

高血圧は血圧の高い状態が続く病気です。血圧とは、血管の中を血液が流れる時に、血管の壁を押し広げようとする圧力のことです。アメリカ、ヨーロッパ、本邦などそれぞれでその定義、治療方針などが定期的に検討され改定されていますが、健康な人の血圧は、収縮期血圧(心臓が縮んで血液を送り出したときの血圧。最大血圧)が140mmHg未満、拡張期血圧(心臓が拡張したときの血圧。最小血圧)が90mmHg未満です。このいずれかが上回っている状態が、高血圧となり、概ね140/90mmHg以下を目標と考えられています。

血圧が高くても通常、特徴のある症状は現れません。症状が現れないのにもかかわらず、身体の中では知らず知らずのうちに、高血圧の悪影響がじわりじわりと広がっていきます。血圧が高いということは、血管の壁に強い圧力がかかっているということですから、それを治療せずにいると、血管が傷めつけられてその老化現象が早く進んでしまうのです。言うまでもなく、血管は全身に張り巡らされていて、血管のない部分というのはほとんどありません。ですから高血圧の影響は全身に及びます。また、血管がたくさんある所ほどその影響を受けやすく、具体的には、脳や腎臓、目の網膜などで症状が現れやすいとされています。それに、血液を送り出す際に負担がかかる心臓も、高血圧の合併症が現れやすい臓器です。それぞれ、脳梗塞、腎不全、眼底出血、心不全などを引き起こします。血圧が高い場合には放置せず、高血圧と言われたら、血圧が高くならないように、普段から意識して気をつけておく必要があります。

高血圧症のうち9割近くは、いわゆる本態性高血圧といって、明らかな原因が特定されていないものです。しかし動脈硬化の原因と重複していることが多いです。残る0.5-1割で、副腎にできる腫瘍や過形成(全体が腫大する現象)が原因で副腎皮質に血圧を上げるホルモンの一つであるアルドステロンというホルモンが過剰分泌された結果おこる高血圧症が最近分かり、原発性アルドステロン症と呼ばれています。血中カリウム値の低下や臓器障害(血管、心臓、脳、腎臓の障害など)が若年より起こりやすく、降圧薬が効きにくいことが従来より知られるも、きわめて稀な二次性高血圧症の原因疾患と考えられてきました。しかし1994年の米国での報告以来、高血圧症全体の4~13%にもおよぶこと、低カリウム血症などの典型的な症状を示す症例が少ないこと、一般的な画像診断では検出不可能な微小な腺腫の頻度が高いこと、2/3に高血圧の家族歴があり、初診時の年齢も40~50歳台に集中していることなどが明らかとなり、きわめて一般的な高血圧症の中に潜んでいることがわかってきました。若年発症やコントロール不良の高血圧症で悩まれている方、一方で「血圧が高いけど、年齢のせい」と考えられている方は精査をおすすめします。ご希望の方は医師までご相談ください。

 

一般的な予防

塩分をとり過ぎると血圧が高くなります。なぜかというと、塩分のとり過ぎは血液の塩分濃度を高めるように働きますが、ヒトのからだはそれを防ぐために、細胞の中の水分を血液に移行させて、血液の塩分濃度が上がらないようします。すると、血液の量が増えます。血液の量が多ければ多いほど、血管の壁には強い力がかかってしまう、つまり、血圧が高くなってしまいます。また、塩分のとり過ぎは、血管を収縮させるホルモンの反応を高めることでも、血圧を高くします。ですから、高血圧の予防・治療には、減塩が第一です。

また、太り気味の場合は減量が大切です。肥満、とくに内臓脂肪型肥満では腹腔内の脂肪組織から血圧を上げる成分がたくんさん分泌されてきます。ですから体重を適正にすると、血圧も正常に近付いてきます。そのうえ、糖尿病や脂質異常症(高コレステロール血症)などの改善効果も得られます。これらの病気はすべて血管の障害を促す原因ですので、減量の効果は血圧低下だけにとどまらず、とても効率の良い治療法だと言えます。減塩や減量と同時に、からだを動かす習慣を身に付けることもお勧めします。からだを動かすことは、体重管理のうえでも必要ですが、それとともに血行を良くして血圧を下げる効果があります。ただ、血圧がかなり高い場合は、運動中に血圧が高くなり過ぎる可能性もあるので、無理は禁物です。このほか、禁煙を心掛け、アルコールの飲み過ぎに注意しましょう。

治療(本態性高血圧について)

福岡県の久山町から報告された久山町研究という臨床研究から、血圧高値で放置し、また血圧が高ければ高いほど、脳梗塞の発症率が高くなることが示されました。他にも多くの研究があり、動脈硬化に基づく脳梗塞、心筋梗塞の発症率を高めることが知られています。5年後10年後の自分の健康のため、人生のQOL(生活の質)を維持するために、ちゃんとコントロールすることが大切です。原則は前述の通りですが、降圧薬には作用機序の異なる多くの種類のものがあります。合併症によって使っていく順序も異なっています。内服薬の多い方程、専門医の診察が推奨されます。

治療(原発性アルドステロン症について)

本症の原因が副腎腫瘍(片側)であったと確定した場合、外科的に腫瘍を摘出することによって劇的に高血圧が治癒する場合もあります。また副腎腫瘍が両側にあった場合や腫瘍がない(微少なためCTにも写らないことあり)、あるいは合併症があり手術に適さない・手術を希望されない場合も、アルドステロンの作用を阻害する降圧薬を服用し、アルドステロンの血中濃度を下げることで血圧降下が望めます。

原発性アルドステロン症は出来るだけ早期に診断して、早期に治療を行なうことが大切です。当院外来で精密検査(カプトプリル負荷試験)を簡単に行なえますので、是非ともご相談をされることをお勧めいたします。

脂質異常症(高コレステロール血症・高脂血症)

脂質異常症とは

脂質異常症(高コレステロール血症・高脂血症)は、血清脂質値が異常値を示す病気です。血清脂質値とは、血液の中の脂肪分の濃度(濃さ)のことを示します。血液の中の脂肪分はいくつかのタイプに分けられ、健康な人は、LDL-コレステロールが140mg/dL未満、HDL-コレステロールが40mg/dL以上、トリグリセライド(中性脂肪)が150mg/dL未満です。この三つの値のいずれかがその範囲を超えた状態が、脂質異常症です。最新の日本動脈硬化学会が示したガイドラインによれば、脂質異常症の診断基準は、1) LDLコレステロール 140 mg/dl以上 2) HDL コレステロール 40 mg/dl未満 3) 中性脂肪 150 mg/dl 以上 4) non-HDL コレステロール 170 mg/dl以上 です。ただし、LDL-コレステロールが140mg/dL未満であっても120~139mg/dLの間は「境界域」に該当し、動脈硬化を引き起こす脂質異常症以外の病気(高血圧や糖尿病など)がある場合などは治療の必要性が高くなります。

なお、脂質異常症という病名についてですが、これは以前、高脂血症と呼ばれていた状態とほぼ同じです。しかし、善玉のHDL-コレステロールは高いほうが良いので、以前の「高コレステロール血症・高脂血症」という病名ではそぐわない点があること等のため、最近は脂質異常症と呼称が変わりました。

脂質異常症に特異的な症状は(高血圧と同様)ありません。症状が現れないのにもかかわらず、知らず知らずのうちに、全身の血管が傷めつけられます。その影響は主に、動脈硬化となって現れます。動脈硬化が進むと、心臓や脳などの血液の流れが悪くなります。そして、あるとき突然、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの発作が起き、QOL(生活の質)が低下したり、ときには命も左右されかねません。脂質異常症と指摘されたら、心臓や脳の発作を起こさないため、血清脂質値(とくに悪玉のLDL-コレステロール)に、いつも気をつけておく必要があります。

予防と治療

原因として遺伝的素因、過食、運動不足、動物性脂肪(飽和脂肪酸)の過剰摂取、肥満などが知られています。動脈硬化の危険因子は高血圧と同様、概ね似かよっているのがお分かりになると思います。

少し詳しく

脂肪分の多い食事をとると、コレステロール値が高くなり、動脈硬化の進行を早めます。具体的には、動物性脂肪である肉や卵などのとり過ぎに注意が必要です。また中性脂肪値は、食事の量自体が多すぎたり、清涼飲料水またはアルコールを飲み過ぎたり、甘いお菓子を食べ過ぎると高くなります。

反対に、野菜などに豊富に含まれている食物繊維や魚油(とくにイワシ等の青魚)、それに豆腐などの大豆製品は、血清脂質値を下げたり、動脈硬化を抑制するように働きます。早い話が、脂質異常症の予防や治療には、洋食よりも和食のほうが適しているということです。

また、太り気味の場合は減量が重要になります。体重が適正になると、脂質異常症だけでなく、高血圧や糖尿病なども相乗的な改善効果が得られます。

これらの病気はすべて動脈硬化の進行を早くする要因です。減量の効果は血清脂質値の改善だけにとどまらず、全身的に好影響をもたらすところから、とても効率の良い治療法だと言えます。食習慣の面を改善するのと同時に、からだを動かす運動習慣を身に付けることもお勧めします。

からだを動かすことは、体重管理のうえでも必要ですが、それとともに善玉のHDL-コレステロールを増やす効果もあります。HDL-コレステロールは、血管の内壁に沈着したコレステロールを抜き取り、動脈硬化の進行を抑えるように働いてくれます。

脂質異常症の治療目標は、LDL-コレステロールは100~160mg/dL(動脈硬化の危険性が高いほど、より低く抑える必要あり)、HDL-コレステロールは40mg/dL以上、中性脂肪は150mg/dL未満と規定されております。

米国のフラミンガム研究をはじめ、日本人を対象とした研究においても、LDLコレステロール、HDLコレステロール低下、中性脂肪はそれぞれ、冠動脈疾患の発症、死亡、脳梗塞の発症、などと関連があることが過去に報告されております。二次予防(一度、心臓疾患や脳血管疾患に罹患した方が二度目以降を起こさないようにすること)にはもちろん、一次予防にも積極的な内服治療が推奨されています。LDLコレステロールを下げるスタチンというお薬が代表的です。

痛風(高尿酸血症)

痛風(高尿酸血症)とは

痛風は「風が当っただけで痛い」と表現されるほどの激痛が発作的に起こる関節炎です。戦前ではその割合は非常に稀でしたが、戦後、社会が豊かになり食糧事情が好転したと共に、急に患者数が増えだしました。このために痛風のことも「成人病」「ぜいたく病」とみる向きもあります。しかし実際には、遺伝的素因が基礎にあり、それに食習慣やストレスなどいくつかの要素が重なりあって発病する病気であり、このあたりの事情は糖尿病とよく似ています。

症状は主に足の親指の付け根付近に生じます。患者さまの多くは30~50代の男性で、女性が痛風になることはめったにありません。痛風発作の激しい痛みは数日間続き、手当ての有無にかかわらず、やがて治まってくるのがふつうの経過です。このため患者さまの中には、発作の原因である「高尿酸血症」を治療せずにいる人が少なくありません。

 

糖尿病は血液中のブドウ糖濃度「血糖値」が高い状態が続く病気ですが、痛風・高尿酸血症は血液中の尿酸という物質の濃度「尿酸値」が高い状態が続くのが特徴です。高尿酸血症そのものも、糖尿病と同様で全く自覚症状がない病気だからです。高尿酸血症とは、からだの新陳代謝で発生する老廃物である「尿酸」が増え過ぎている状態です。尿酸コントロールには「6-7-8のルール」が適応されます。8以上は多くの場合、薬物治療が必要で、6以下をめざします。そして7以下は正常、7を超えると高尿酸血症です。

高尿酸血症のために体内で結晶化した尿酸は、関節や腎臓などに溜まります。関節に溜まった尿酸の結晶が痛風発作の原因となります。痛風そのものは短期間で治まっても、高尿酸血症を治さないことには体内の尿酸結晶はそのまま存在し続けます。その結果、痛風発作が再発したり、腎臓中の尿酸結晶が原因で腎臓病になったり、尿路結石ができたりといった、さまざまな合併症が起こります。高尿酸血症は糖尿病と同じく、放置していた場合の合併症が怖い病気です。

また高尿酸血症の患者さまはたいてい、メタボリックシンドロームに該当し、動脈硬化が進行しやすい状態にあります。

高尿酸血症の主な合併症に、腎臓障害、尿路結石、動脈硬化などがあります。糖尿病との関係では、とくに動脈硬化が問題となります。動脈硬化は、心臓病や脳血管障害などを起こして生命に危険に及ぼしたり、身体に障害を残す原因となる恐ろしい病気です。糖尿病も動脈硬化の大きな危険因子ですので、尿酸値と血糖値が高い人は、十分な注意が必要です。現在、国内の痛風患者数は約30〜50万、痛風ではないものの尿酸値が高い「無症候性高尿酸血症(痛風予備群)」の人は、約500万と推計されています。また痛風をもつ患者さまは、複数種の生活習慣病(高血圧、脂質異常症、耐糖能障害など)を併発することが多く、痛風だけを患っている人は5%以下にすぎないという報告があります。

予防と治療

「痛風の予防」とは、「高尿酸血症の治療」と全くイコールです。高尿酸血症は、遺伝的に尿酸値が高くなりやすい体質があり、それにさまざまな生活習慣が加わることで発病します。尿酸値が上がりやすい生活習慣とは、過食やアルコールの飲みすぎ、運動不足、それによる肥満、精神的ストレスなどです。お気づきのように、これらは糖尿病を招く習慣と、ほぼ同じ内容です。事実、糖尿病の人は尿酸値が高い人が多く、また、高尿酸血症の人は糖尿病や耐糖能障害(糖尿病と診断されるほどの高血糖ではないものの、血糖変動が正常でない状態。糖尿病予備群。ブドウ糖負荷試験の2時間値が140〜199mg/dLの場合)になりやすいのです。逆にいえば、高尿酸血症を治療することは糖尿病の予防・治療につながりますし、糖尿病の食事・運動療法は、尿酸値にも良い影響を与えます。そして、高尿酸血症を治すことで痛風発作を予防できるだけでなく、痛風以外の合併症である腎臓病や尿路結石も予防できます。同時にメタボリックシンドロームを治療し、動脈硬化の進行を抑えることにもなります。

減量のためには、適切なカロリーで栄養バランスのよい食事をとること、そして適度な運動を続けることが欠かせません。なお、運動の強さが強過ぎると、逆に尿酸値が高くなるので注意してください。減量に加えて、尿酸値を上げない工夫も必要です。例えばアルコール(とくにビール)を飲み過ぎない、体内で尿酸に変わる「プリン体」の多い食べ物(レバーなど)を食べ過ぎない、水分をよくとるといったことです。なお、高尿酸血症の治療を始めた後しばらくの間、尿酸値が変化(下降も含む)している期間は痛風発作が起きやすくなります。発作時には医師に処方された薬を飲み、対処してください。

近年、こういった生活習慣病の発病には、インスリンが作用しにくくなる「インスリン抵抗性」が関係していることがわかってきて、高尿酸血症の発病にもインスリン抵抗性が関わっている可能性が示されています。そしてそのインスリン抵抗性を生む大きな要因が、体質面の遺伝的要素と、文字通り「生活習慣」といえます。

遺伝的要素は現在のところ治療手段はありません。しかし、生活習慣は患者さま次第で改善できることです。尿酸値が高いといわれた人は、痛風や腎臓障害、尿路結石に気をつけるとともに、動脈硬化の予防のため、生活面を工夫して、血圧や血清脂質、血糖値も適切にコントロールしていきましょう。

肥満症(メタボ)

肥満症(メタボ)とは

肥満症とメタボリックシンドロームは、どちらも肥満のために起こる病気なので、重なり合う部分が多いのですが、少し異なります。まずは両者の共通点である「肥満」について解説しましょう。

現代人は、過食や運動不足で肥満になりがちです。肥満とは、からだに余分な脂肪がついている状態を指し、単に体重が増えることではありません。摂取エネルギーが、消費エネルギーを上回った結果、予備のエネルギーとして蓄積された体脂肪が、必要以上に増えた状態なのです。つまり、肥満かどうかは、体内に占める脂肪の割合で決まるのです。医学的には「BMI」という尺度を使い、肥満かどうかを判定します。そのBMIは、体重(kg)を、メートルで表した身長で2回割り算して計算します。この答が18.5以上25未満になれば普通体重、18.5未満なら低体重(やせ過ぎ)で、25以上の場合が肥満です。例えば、身長160cmで体重65kgの人を例にとると、65÷1.6÷1.6=25.39。この人はBMIが25.4なので、肥満に該当します。

肥満は、おそらく私たちの体にとって、ひとつの異常事態だと考えられます。肥満の程度が高くなるほど、糖尿病や動脈硬化症など、さまざまな生活習慣病になりやすくなり、死亡率も高くなるからです。肥満になればなるほど、健康や長寿から遠ざかるということが、肥満の最大の特徴といえます。

肥満になると、耐糖能(血糖を処理する能力)障害などの、軽い糖尿病状態になる人が増えますが、初期のうちに肥満を解消すれば、また正常に戻ることができます。しかし、そのまま肥満を放置し続けると、糖尿病になってしまう人が少なくないのです。このような、明らかに肥満が原因で発症する糖尿病は「肥満糖尿病」といわれます。

BMI25以上が肥満とされるのは、25を超えると、糖尿病や高血圧、脂質異常症(高コレステロール血症・高脂血症)など、多くの生活習慣病が起きやすくなるからです。最近の研究ではBMIが27で、糖尿病になる危険は2倍になることがわかりました。糖尿病の予防や血糖コントロールの改善には、BMI20〜24に相当する体重、つまり、身長×身長×20 と身長×身長×24の間の体重を目標とするのがよいと思われます。

さて、それでは「肥満症」とはどういう病気かという話に進めます。

肥満症は、肥満に該当する状態(BMIが25以上)で、かつ、肥満による健康への悪影響が既に現れている場合、もしくは「内臓脂肪型肥満」の場合を指す病名です。前者の「肥満による健康への悪影響」の主なものとして、糖尿病やその予備群、脂質異常症(高コレステロール血症・高脂血症)、高尿酸血症(痛風)、心臓や脳の血管の病気、脂肪肝、月経異常、ひざの痛みや腰痛、睡眠時無呼吸症候群などです。後者の「内臓脂肪型肥満」とは、おなかの出っ張りが特徴の肥満のことで、中年男性によくみられます。医学的には内臓脂肪面積が100cm2以上のときに内臓脂肪型肥満と診断されますが、一般的にはウエスト周囲長で代用されていて、男性は85cm以上、女性は90cm以上の場合に該当します。では「肥満症」と「メタボリックシンドローム」の違いは何かというと、肥満症の健康への悪影響の中でも特に、命に直結しかねない動脈硬化に焦点を当て、その予防と早期治療のために診断するのがメタボリックシンドロームだということです。

具体的には、前記の内臓脂肪型肥満に該当し、かつ、血圧や血糖値、血清脂質に‘軽度’の異常が重なっている状態を指します。異常の程度が‘軽度’でも診断する理由は、軽度であっても異常が複数重なると動脈硬化の進行が相乗的に速くなってしまうためです。なお、肥満症もメタボリックシンドロームも医学的には疾患(病気)に該当します。つまり、単に「太っているだけ」では済まされず、治療が必要な状態であります。

予防と治療

肥満症やメタボリックシンドロームの予防や治療は、肥満を解消すること、つまり減量が基本です。それには「寝る前に食べない」「食事はよく噛んでゆっくり食べる」「菓子の間食やアルコール飲料を控える」「よくからだを動かす」といった、一見すると当たり前のように思えることを、実直に実践することがカギを握ります。また、肥満解消と並行し、肥満による健康への悪影響(前記した病気)なくすための治療も必要です。具体的には、肥満でかつ血糖値が高いという状態では、減量が成功すると血糖値も下がることが多いのですが、血糖値が十分に下がらない場合にはそれを下げる治療を行います。なお、高度肥満の場合には、超低エネルギー食療法、胃の内部を狭くする手術(肥満の外科療法;保険適応あり)で治療する場合もあります。

治療の原則である食事と運動による減量に帰ることこそ、治療の最大の近道です。また治療を成功させるポイントがいくつかあります。

1 太っている今が治療のチャンス。

現在肥満状態にあるということは、すい臓のβ細胞が障害されるところまで、まだ病気が進行していない可能性が高いということです。β細胞が障害された結果、インスリンの分泌が不足し始めると、減量しようとしなくても勝手に痩せます。糖尿病を軽度のうちに治せるチャンスはまさに「今この時」なのです。

2 運動療法を始める前にメディカルチェックが必要。

高度の肥満者や、膝・股関節の関節症、そのほか合併症がある場合は運動内容に制限があるので、事前に諸検査を受け、注意点を知っておくことが重要です。また、いきなり運動を始めると、筋肉が断裂したり関節・腱を傷めうるので、十分なストレッチを行い軽い運動から始め、筋力をつける運動もメニューに入れます。

3 減量には「適応現象」がつきもの。

減量をしばらく続けると、途中で体重減少が停滞する時期(適応現象)必ず起きます。そんな時もあせらず、軽い摂取カロリー制限と運動を続ける日々の努力により、乗り切ることができます。

4 極端な減量はやり直しがきかないので、ゆっくりペースでの減量がおすすめ。

極端な減量を繰り返していると、減量に対する抵抗力がついてしまい、かえって体重が前より増え、体重コントロールが不良に傾きます。一度始めたら、途中で投げ出さないよう、ゆっくりやせるようにしましょう。

5 (糖尿病での治療を開始している場合では)処方薬を減らす努力をしましょう。

安易に薬物を使うと効き目が減退し、さらに強い薬に頼らざるを得なくなります。現在、SU薬、その他の経口薬やインスリンなどの薬物療法をしている場合でも、薬だけに頼らず、食事と運動による減量を着実に行うことで、薬を減量、または脱却できることもよくあります。

また、インスリンには長期間使用することで肥満傾向を助長する作用もありますので、使用量は最小限に抑えながら、より良い血糖コントロールが保てるよう努力することが重要になります。

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