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これも「新しい形」の影響?これからの高尿酸血症/飲酒に潜むリスク

当ホームページをご覧のみなさまへ。
こんにちは。しんかなクリニック院長の片岡です。

7月も半ばを過ぎ、ゲリラ豪雨が続きますが、梅雨明けも目前に迫って参りました。また東京オリンピックが紆余曲折を経て開催されます。しかし東京では4回目の緊急事態宣言が出されている中であり、コロナ禍の下での「ステイホーム」は未だ続いております。夏休みやお盆にかけて「飲む機会」が増える時期になるこの時期に、テレビを囲んで「離れた場所から楽しむ新しい形」がオリンピックにも定着するのでしょうか。

以前のブログ記事にも記載しましたが、一連のコロナ禍で今まで浸透していなかったテレワーク・リモートワーク(遠隔勤務)の形は、今後も一定程度は続くものと思われます。「家から出なくても完結する」事は「移動する事が極端に減る」事と表裏一体であり、実際に「昨年の健診で痛風と診断された」方は元より、痛風と診断されても治療せず、「在宅ワークで自宅飲みだけで飲酒量は確実に減っているのに、次第に足が痛くなってきて、、、」と慌てて来院された方もおられます。今日は、この高尿酸血症/痛風についてのお話です。
 
目次
  • 「ステイホーム」下での飲酒増加
  • 世界で起きている動きと日本での影響 今後の飲酒の向かう先はどこか
  • 最後に 飲酒を無くせばゼロリスクなのか
 
「ステイホーム」下での飲酒増加
 

クリニックHPの別部分で記しておりますが、痛風・高尿酸血症は、尿酸処理に関する遺伝的素因が基礎にあり、それに食習慣やストレスなどいくつかの要素が重なりあって発病する病気であり、このあたりの事情は糖尿病とよく似ている背景があります。尿酸は全てが食事に依存するものではありません。飲酒に伴い尿酸が新たに体内で生合成されるために生じる産生過剰型、尿酸の排泄低下型、その2つの混合型、腎外(腸からの)尿酸排泄低下など原因は様々で、飲酒に関係無く発症する事もない事はないのですが、やはり何らかの形で飲酒しておられる方が多数を占めます。そのためか訪れられる方は男性が多いです。(高尿酸血症の合併症や管理目標等については別項をご参照下さい)

尿酸値が上がりやすい生活習慣としては、プリン体の過剰接種等の過食やアルコールの飲みすぎ、運動不足、それによる肥満・精神的ストレスなどです。

<1日の終わりにアルコールを1杯飲んで、心と体の疲れをリセットする>事はコロナ禍以前にも、割とどこでもある、ありふれた光景でしたが、この1年間のコロナ禍での自粛生活で、うまく人とつながれず、孤独に悩む人がストレスを増やした事は想像に難くありません。新型コロナウィルス感染による緊急事態宣言が解けた昨年2020年7~9月の時期、家計支出が軒並み抑えられた中においても前年比2割程度の増加をみせた支出項目が2つあり、これが酒とタバコであったという家計調査が総務省が公表しております。

 

世界で起きている動きと日本での影響 今後の飲酒の向かう先はどこに

 

以前から、ほどほどの飲酒であれば健康効果がある・少量の飲酒は体に良いとされ、「酒は百薬の長」という言葉すらあります。過去にも適度な飲酒は2型糖尿病リスクを低下と関連する事が言われておりました。

日本の厚生労働省の指針では、1日のアルコール摂取量の目安を、純アルコール量で約20~25g程度としています。これをアルコール飲料に換算するとビールは中びん1本(500mL)、日本酒は1合(180mL)、焼酎0.6合(約110mL)、ウイスキーはダブル1杯(60mL)、ワイン1/4本(約180mL)、缶チューハイ1.5缶(約520mL)が目安となります。このアルコール摂取量が男性で40g以上、女性で20g以上になると「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」として注意を促しています。

一方で最近では睡眠の質の悪化を引き起こす事も知られるようになり、毎日習慣的に飲酒される方には、週に2回の休肝日を作り肝臓の負担を減らしていく事を提案しておりました。

しかし
2013:世界保健機関(WHO)ががんや糖尿病などの疾患リスクの要因としてアルコール有害摂取を挙げた事に発し
2015:国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)で目標の一つに有害なアルコール摂取防止が盛り込まれました。
 また2017年には英国オックスフォード大学とロンドン大学の研究チームから「健康リスクを最小限に抑えるための安全な飲酒量の目安が存在せず、アルコールは適量であっても脳に重大な影響をおよぼす可能性がある」
 とする研究結果が発表されました。

アルコールを飲まないグループと比べ、多量飲酒のグループでもっとも高かった(5.8倍)のはもちろん、適量飲酒のグループでも脳の海馬<記憶や空間学習能力に関わる領域で、アルツハイマー型認知症における影響を最初に受ける場所>の萎縮リスクは高く(3.4倍)、アルコールを少ししか飲まないグループであっても海馬の萎縮リスクを抑制する効果はなく、解析結果からは過去30年間のアルコールの摂取量が増えるごとに、脳の記憶を司る海馬の萎縮リスクが上昇した との報告です。

世界的に高まる飲酒リスクに対し、将来的にアルコール摂取量の世界的な見直しがあるかもしれず、喫煙による影響が知られるにあたり世界的に消費が激減してしまったたばこと同様に、現在アルコールに関わる業界では強い危機感があります。国内企業のグループ会社でも店舗での飲み放題プランを終了するなど、既に動き出した企業もあるようです。
そんな中での現政権の某大臣に端を発した飲酒業界への一連の騒動は、今までの対応と相まって完全に火に油を注ぐものであり、簡単に事態が収まるとは思えません。

 
最後に 飲酒を無くせばゼロリスクになるのか

 

コロナ禍によって飲酒がやり玉に挙げられ、大人数・長時間の宴会も激減しました。今すぐに日本人のお酒離れにつながるとは考えにくいですが、我々日本人は往々にしてゼロリスクを目指しやすい国民性なのかもしれません。

ただ、ゼロコロナが達成出来ないのと同様、飲酒する事も完全に一律無しにするのではなく、何かしらの形で折り合いをつける事も必要ではないでしょうか。
窮屈な日々がまだしばらく続きますが、飲酒以外にも、自宅内でもできる何かしらのストレス解消法を新たに見つけ、充分に栄養と休養をとり、今年の残り後半を乗り切りたいものです。

 
今後とも、しんかなクリニックをどうぞ宜しくお願い致します。

1)Moderate alcohol consumption as risk factor for adverse brain outcomes and cognitive decline: longitudinal cohort study(2017/6/6)

2)Even moderate drinking linked to a decline in brain health(2017/6/7)

しんかなクリニック 内科・糖尿病内科
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